幸せ，おすそ分け

　財布を落としたことがあるか？…ある。飲みに行った時ではない。「なんでこんなとこで？」というところだった。財布ではないが，携帯電話ってのもあったな。まだスマホなんかじゃなかったとき。…ほんと，不安でしかないよね〜。

　今日は，拾った。財布を。正確に言うと拾ったのは自分ではない。しかし，それを預けられてしまった。これ，うかつに交番に持っていくとかえってややこしくなっちゃう（このあたり，改善できませんかね）。それで，中に入っているものをもとになんとか連絡できた。取りに来ていただいたが，ホッとした顔をしていた。わかる，わかるよ〜。

　職場でこのことが話題になり，様々な体験談交流となったが，みんな一度は財布か携帯を落としている。しかもみんなちゃんと見つかっているのだ。これは，様々な国の人がなんと言おうと，誇れる「文化」じゃないだろうか。たとえ財布に１０００円しか入っていなかっとしても，カードやらなんやらがある。落とした人の不安は半端ないのだ。同じ千円でも紙幣がそのまま落ちているのか「財布」っていうツールに入っているのかではかなり違う。財布を落とした若者をバカにする人は職場ではだれもいなかった。「…かわいそうに」「見つかってよかった」と。

　日本人は，確かに弱っちいところがあるかもしれない。諸外国の押しの強さには，ニュースを通していたとしてもたじたじになることがある。そして，国内でも自分のことを棚に上げて声だけでかい人の割合はどんどんと増えている。でも，ついうっかり，しかも「うっかり」にしては大きすぎる結果となってしまった人の気持ちに寄り添い，なんとか力になろうとする人はまだたくさんいる。それが感じられたことが嬉しかった。他人のことではあるが，幸せのおそすわけ，いただきました。